Small World Project

Small World Project BOP層の暮らしに向けた研究開発の取組 Small World Project とは? 世界の人口の70%以上が“BOP層”と呼ばれる低所得層に属すると言われています。...

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現地の漁港の様子

三菱電機グループとSDGs

Small World Project BOP層の暮らしに向けた研究開発の取組

現地のライフスタイルに目を凝らす プロジェクトをすすめるにあたり、現地に幅広いネット ワークを持つNPO法人「コペルニク」 に協力いただき、

ことによる食中毒も頻繁に発生していることが分かりま した。

Small World Project とは?

無電化地域の村や家庭、学校、診療所、役場などの様々

もし、バイクでの移動販売時に、魚を新鮮な状態に保

な場所を巡り、日々の生活の観察やインタビュー調査を

つことができれば、長い時間、より遠方での販売が可能

世界の人口の70%以上が“BOP層” と呼ばれる低所得層に属すると言われています。このプロジェクトは、

行いました。その中で、漁港や、離れた村にやってくる魚

になり、売れ残りも減らすことができます。このような気

売りとの出会いから、課題への気づきや、解決に向けた

づきや仮説から、バイクの電源で動く小さな冷蔵庫の開

アイデアが生まれました。

発がスタートしました。

三菱電機の製品やテクノロジーを、一部の先進国のためだけでなく、世界に暮らす多くの人々の生活や社 会のために活用したいという想いをもとに、三菱電機の若手研究者から生まれました。 現地に赴き、BOP層の人々とのコミュニケーションや体験を通じた課題抽出や解決へのアプローチを行い ながら、世界の人々の暮らしの改善に貢献します。

冷蔵庫を全く使ったことがない人々に、まずは「冷や す」 ことの価値を体感してもらうため、実際にバイクの電

魚売りのための小さな冷蔵庫

源で動く試作機を製作し、現地の方に使用テストに協力 いただき、理解を深めていただきました。

大 小 様 々な 島で構 成されるインドネシアでは、海か

ました。また、傷んだ魚を食べることによって食中毒に

ら獲れる魚は、主要な食糧源であり、多くの人が魚を販

なるといった衛 生 上 の 課 題もありました。現 地 の 調 査

売することで日々の生計を立てています。しかし、炎天

にてこのような課 題に触れ、そ の 解 決に向けた小さな

バイクに乗った魚売りと傷んだ魚の様子

出すことの困難さなど、ハードウェアとしての課題も浮

下で販売する魚はすぐに傷んでしまい、販売価格の低

冷蔵庫の研究開発を、本プロジェクトの一つとして行っ

漁港から離れた村でリサーチをしていると、バイクに

かび上がってきました。それらの課題を解決すべく、最

下や売れ残りを引き起こし、収 入を不 安 定にさせてい

ています。

乗った魚売りが村の家々を回っている様子を目にする

新の試作機では、冷却性能の向上はもちろん、日射のあ

ことがありました。しかし、バケツに入れられただけの魚

たる天面の面積を抑えるとともに、雨などが自然と流れ

はすでに傷んだ状態でした。魚売りに話を聞くと、暑さ

落ちる形状とし、持ち運びや清掃性なども考慮して改良

貢献できる主なSDGs ※

一方、使用テストでは、直射日光や雨季のスコールの 影響、バイクのバッテリーの電力で安定した冷却性能を

新 鮮な状 態で長 時 間・遠 方で

魚の腐敗によって引き起こされ

の魚の販売が可能になる。販

ていた食中毒を防ぐ。また、無

売価格の低下や売れ残りを減

電化地域へのワクチンの輸送

によって魚はすぐに傷んでしまい、これによって販売価

をしています。また、バイクへの取り付けにおいても、現

らすことで、収入の安定・向上

など、温度管理が必要な用途へ

につながる。

の適用が期待できる。

格の低下や売れ残りが発生し、収入が安定しないとのこ

地で容易に手に入る素材で簡単に固定できるよう工夫

とでした。また、村の人の話からは、傷んだ魚を食べる

しています。

※SDGs 持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals)

魚売りの収入向上のための小さな冷蔵庫 BOP層の暮らしを向上させるには、収入を向上させる ことが大切です。そのために、 「 バイクの電源で動く小さ な冷蔵庫」の開発にとどまらず、収入向上に繋げるため の効果的な使い方から、新しいワークスタイルの確立ま で、現地の人々と一緒に考えながら、事業化を目指して います。 バイク電源で動く小さな冷蔵庫の試作機

試作機の変遷(左:初代、中央:二代目、右:最新機)

2017年11月発行 2018年11月改定

開発チームの声

試作機での販売テストを行う現地の方々とのミーティングの様子

魚の販売テストの様子

現地に暮らす人々と “共に”作り上げる

現地の子どもたちとの交流

ただモノを提案して終わりではなく、どうやったら収

買い逃していることがわかりました。

入が向上するかを、現地の人々と一緒に考えていくこと

また、長い時間販売できることで魚の販売量が増える

も、本取組において重要です。冷蔵庫によって魚を販売

だけでなく、市街地では冷蔵した魚が好まれ、3割近くも

できる時間が長くなったとしても、それを購入する人が

高く売れるケースもありました。試作機はもちろん、 とき

いなければ収入は向上しません。そこで、午後や夕方に

には紙で作ったモデルなども用い、現地の人々の反応

魚の販売テストを行ったところ、 「 午前中に魚売りが来た

や効果を見定めながら、丁寧に調査しています。

ことに気付かなかった」などの理由で、多くの人が魚を

このプロジェクトでは、調査や実験を通して出会った、インドネシアの農村・漁村に暮らすたくさんの人々の協力 によって、今日に至ることができました。試作機を用いたテストを始め、 ヒアリングやインタビューに快く応じてく れた彼らの温和で優しい人柄や、人懐っこい性格。そして何より、今の暮らしをより良くしたいという前向きで素直 な想いに、大変感謝しています。 今回の活動のみならず、水や食料、エネルギー、医療、教育など、BOP層の暮らしや社会の課題に対してアプ ローチできることは、まだまだたくさんあると思います。Small World Projectでは、企業の持つ製品や技術を 軸に、 これからも人々の暮らしに寄り添って、新しい価値を生み出せるよう活動を続けていきたいと思っています。

コミュニティの皆様の声 魚売りの声

主な コメント

魚を買う側の声

・ 魚を長 い 時 間 保 存 できるの で 、 ・ 新鮮な魚は安心して購入できる。 夕方まで売ることができるように ・ 以 前 、古 い 魚 を 買って 食 中 毒に なった。また、これまでよりも遠く なったことがあった。冷蔵された まで売りに行けるようになった。 魚を積極的に選びたい。 ・ お 客 様 は 冷 蔵した 魚 を 好 ん で ・ 魚売りのバイクが来たことに気付 買ってくれる。 かず、買い逃してしまうことがあ ・ お客様は通常のものよりも冷蔵 るので、午前以外でも新鮮な魚が した魚の方を、高く買ってくれる。 買えるのは嬉しい。 ・ もう少し温度が冷えると良い。

今後の ・ バイクのバッテリーへの負荷が心 配なので、より少ない電力で使え 期待・要望

プロジェクトメンバー左から

・ 多少金額が高くても、冷蔵した安

先端技術総合研究所:春名 正樹、越前谷 大介、松本 崇

全な魚を買いたい。

ると良い。

デザイン研究所:齊川 義則、松山 祥樹、橋本 孝康

試作機を使っているオマさんの家にて

協働パートナーの声 2つの異なるシーンを、1つのデザインでつなぐ

コペルニクは、ラストマイル(最も支援の届きにくい地域や人々)の課題に デ ザインの 力 で 途 上 国と先 進 国 の 人 々 の 暮らしの

対し、民間企業、公的機関、市民団体などと連携しながら、効果的な解決策を

の他に、 リビングやベッドルームのためのモデルも考案

シーンをつなぐ。そんな世界を目指して 「Small World

見つけ、促進する活動を行っています。インドネシアの魚売りの人々は仕入

しています。これらは同じ形状で構成されており、ほぼ

Project」の挑戦は続きます。

れた魚を常温で保存・販売しているため、魚の鮮度の劣化が早く、低収入の

魚売りのための「バイクの電源で動く小さな冷蔵庫」

一因となっています。そこで魚売りの生活や仕事のスタイルを丁寧に観察し

同一の生産設備で製造することを想定しています。

た上で、バイク用冷蔵庫のテストと試作品の改良を重ねてきました。その結

暑い日差しや突然のスコールといった環境の中を走 るバイクの上と、先進国のリビングのソファのそば。この

米国 NPO 法人 コペルニク共同創設者兼 CEO

ようなまったく別のシーンを1つのデザインが結びつけ

中村 俊裕

ることで、金型を始めとした生産設備が共通化でき、生 産台数が増えることで1台あたりのコストも大きく下げ

WEB    NPO 法人 コペルニク

ることができます。

果、魚の鮮度を長く保てるため、販売時間の延長や販売価格の上昇による収 入増加の可能性が見え始めています。今後は、販売チャネルの開拓やビジネ スモデルの構築、魚の保存に留まらない冷蔵庫の活用の可能性の検討も含 めて、ご一緒していきたいと思っています。

リビングやベッドルームのためのモデル 2017年11月発行 2018年11月改定